不妊症の患者数
その原因を問わなければ不妊に悩む人達の数は相当数に上る。総人口のうち約1割が妊娠しづらいことに悩んでいるとも言われている。
妊娠しても胎児が適切に育たず、時を経て流産してしまう不育症の患者も含めると子供ができない苦しみを味わっている人の数はさらに跳ね上がる。
筆者の周囲を見渡しても妊娠もしくは生殖にまつわるトラブルを体験した人は数多く、極々身近な問題だと感じる。
さまざまな理由が不妊症の患者が増えている原因として考えられているが、我が国の場合、経済的な余裕がなく若いうちに妊娠の準備ができず、或る程度の余裕ができたころには妊娠するだけの体力が無くなっているカップルが多いと言われている。
また、性の情報が独り歩きし享楽的な面ばかりが強調されたために本来の目的である男女両性が協力して子をなし、社会に巣立つまでその懐にて厚く庇護すると言う本来の目的を若い人が十分に認識できないという問題もある。
セックスレス等が人口減少の理由だと考えられがちだが、実は妊娠の可能性のない行為を繰り返すことによって「妊娠適齢期」を逃してしまっている人も中にはいる。
また、我が国では家制度の影響が未だ色濃く残っており、社会全体で子供を「賜物」として育てる風土が育っていない。
周囲を見渡しても助けてくれる人を見いだせず子育てに行き詰っている母親は数多くいる。
仮に不妊治療をすれば妊娠できる可能性がある人でも、この現状を見ると二の足を踏んで妊娠を断念してしまうことがある。
不妊治療には妊娠しやすくなるようにすることばかりでなく、産んだ子の明るい未来を信じられるシステム作りもまた必要だ。